げんしつ
ICU(Intensive Care Unit=集中治療室)のベッドの上。
2度めの手術が終わった。心電図のコードや酸素吸入のチューブやら、腕には点滴、下半身からも細いチューブ(排尿用)が一本出ている。
「なんちゅうザマだよ。」
美人の看護師さんが、「どうですか、痛みはある?」
「いえ、何も。痛くも痒くないよ。」
「よかった、大手術で大変だったね。」
大変だったのは8時間も執刀したお医者さんで、僕は全身麻酔で寝かされてただけ。
「もう少し休んでてね。」
動きたくても動けないって。
一眠りして目が覚めた。時間の感覚が無い。
ちょうどのタイミングで麻酔科の若い先生が来た。
「どうですか、ゲンシツはでた?」
「?・・・いえ、何も出ていません。」
「良かったねぇ。ま、もう少し様子を見ましょう。」
(全然良くないぞ。こちとら2本しかない足の片方切り落としたんだぞ。心が痛いんだぞ。痛み止めをくれ!。)
「?・・・はぁ、よろしくお願いします。」
『ゲンシツ』 そりゃなんじゃ??。
例の美人の看護師さんに聞いてみる。
僕「ゲンシツって何?」
美人看護師「右足、痛くない?」
あー理解った、なるほど『ゲンシツ』じゃなくて『ゲンシツウ』かぁ。
幻肢痛(げんしつう Phantom Pain)
怪我や病気によって四肢を切断した患者の多くが体験する、難治性の疼痛のこと。無いはずの手や足が痛む症状。例として大腿部より下の足を切断したにも関わらず、つま先や膝に痛みを感じるといった状態を。
あるはずのない手の先端があるように感じる、幻肢(注)の派生症状。
詳しい原因は確認されていない。脳内にある体の各部位に対応するマップが、その部位を失ったにも関わらず更新されないことが影響している、との説がある。
そうか、僕の脳みそは右足を切断したことを認めたくないんだ。
痛みを感じているはずの部位は実際には失われている為、痛み止めの薬や麻酔などは全く効果がない。
鏡療法、鏡治療、ミラーセラピーなどと呼ばれる、内部に鏡の仕切りがある箱に失っていない手を入れ、鏡を覗き込みながら(失った四肢の側を鏡で隠しながら存在する四肢を鏡に写して見る)「グー・パー」などと動かすことで痛みが消える、または緩和する、という治療法がある。この治療法の効果には個人差があり、決定的な治療法は見つかっていない。
注:幻肢(げんし Phantom Limb)
事故や病気が原因で手や足を失ったり、生まれながらにして持たない患者が、存在しない手足が依然存在するかのように感じること。幻影肢(げんえいし)ともいう。
僕のはあんまりひどくない。
時々『右膝のお皿の裏』辺りキリキリっと痛くなる。
耐えられないほどの痛さじゃない。けど、適度に集中力は削がれる。本は読んでいられない。テレビも内容がちっともわからない。
とっさに手を当ててみるが手が当たらない、空振り。(膝はもう無いから)
要は、痛み出したら何もできないくらいには痛い。
重い人はすごいらしい。
膝にドリルを突き立てられたような痛みとか、親指を万力で締めあげられて、おまけに電気ショックを加えられてるような痛みとかいう人もいる。
あまりひどい人は手術するんだけど、大抵治らないんだって。下手すると余計ひどくなる。
ほぼ一生もんだってさ。 参ったな!!!。
2度めの手術が終わった。心電図のコードや酸素吸入のチューブやら、腕には点滴、下半身からも細いチューブ(排尿用)が一本出ている。
「なんちゅうザマだよ。」
美人の看護師さんが、「どうですか、痛みはある?」
「いえ、何も。痛くも痒くないよ。」
「よかった、大手術で大変だったね。」
大変だったのは8時間も執刀したお医者さんで、僕は全身麻酔で寝かされてただけ。
「もう少し休んでてね。」
動きたくても動けないって。
一眠りして目が覚めた。時間の感覚が無い。
ちょうどのタイミングで麻酔科の若い先生が来た。
「どうですか、ゲンシツはでた?」
「?・・・いえ、何も出ていません。」
「良かったねぇ。ま、もう少し様子を見ましょう。」
(全然良くないぞ。こちとら2本しかない足の片方切り落としたんだぞ。心が痛いんだぞ。痛み止めをくれ!。)
「?・・・はぁ、よろしくお願いします。」
『ゲンシツ』 そりゃなんじゃ??。
例の美人の看護師さんに聞いてみる。
僕「ゲンシツって何?」
美人看護師「右足、痛くない?」
あー理解った、なるほど『ゲンシツ』じゃなくて『ゲンシツウ』かぁ。
幻肢痛(げんしつう Phantom Pain)
怪我や病気によって四肢を切断した患者の多くが体験する、難治性の疼痛のこと。無いはずの手や足が痛む症状。例として大腿部より下の足を切断したにも関わらず、つま先や膝に痛みを感じるといった状態を。
あるはずのない手の先端があるように感じる、幻肢(注)の派生症状。
詳しい原因は確認されていない。脳内にある体の各部位に対応するマップが、その部位を失ったにも関わらず更新されないことが影響している、との説がある。
そうか、僕の脳みそは右足を切断したことを認めたくないんだ。
痛みを感じているはずの部位は実際には失われている為、痛み止めの薬や麻酔などは全く効果がない。
鏡療法、鏡治療、ミラーセラピーなどと呼ばれる、内部に鏡の仕切りがある箱に失っていない手を入れ、鏡を覗き込みながら(失った四肢の側を鏡で隠しながら存在する四肢を鏡に写して見る)「グー・パー」などと動かすことで痛みが消える、または緩和する、という治療法がある。この治療法の効果には個人差があり、決定的な治療法は見つかっていない。
注:幻肢(げんし Phantom Limb)
事故や病気が原因で手や足を失ったり、生まれながらにして持たない患者が、存在しない手足が依然存在するかのように感じること。幻影肢(げんえいし)ともいう。
僕のはあんまりひどくない。
時々『右膝のお皿の裏』辺りキリキリっと痛くなる。
耐えられないほどの痛さじゃない。けど、適度に集中力は削がれる。本は読んでいられない。テレビも内容がちっともわからない。
とっさに手を当ててみるが手が当たらない、空振り。(膝はもう無いから)
要は、痛み出したら何もできないくらいには痛い。
重い人はすごいらしい。
膝にドリルを突き立てられたような痛みとか、親指を万力で締めあげられて、おまけに電気ショックを加えられてるような痛みとかいう人もいる。
あまりひどい人は手術するんだけど、大抵治らないんだって。下手すると余計ひどくなる。
ほぼ一生もんだってさ。 参ったな!!!。
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